おくむらクリニック
OKUMURA CLINIC


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OKUMURA CLINIC, For Better Diabetes Management

鼻からの内視鏡検査

オエーッと来にくい内視鏡検査!

 最近テレビの番組などでもよく見かけられます、鼻からの内視鏡検査、「経鼻内視鏡検査」をご紹介します。
「鼻から」、というと普段物が入らないところだけに少し心理的に抵抗があるかもしれませんが、耳鼻咽喉科でしばしば実施されているような軟らかい管(ファイバー)で、鉛筆よりも細い内視鏡を、鼻から喉を通って口、食道と挿入します。
 通常の口からの挿入の場合、内視鏡が舌の付け根や喉の後ろ側に接触したり、口の中でたわんで喉の敏感な部分を押すことで、「オエーッ」とする嘔吐反射をしばしば伴います。
これが口からの内視鏡検査に伴う苦痛の元凶です。
 鼻からの挿入では、鼻の穴の中でゆるやかにカーブを描きながら、喉の後ろ側をたわんで押すことなく、ほぼ直線的に喉から食道へ挿入されるため、嘔吐反射が非常に起きにくくなります。

おしゃべりしながらの検査!

 不快な喉の麻酔や、口を閉じている必要がありませんので、頭上のモニター画面を見て頂きながら、苦痛があればそれをすぐに口で訴えることもでき、まさにおしゃべりしながら、リラックスして検査が受けられます。通常5分程で検査は終了します。

検査後すぐに食事!

 鼻の穴の中(鼻腔)の麻酔は、鼻の穴に出血予防のスプレーを数回行ったうえで、内視鏡とほぼ同じ太さの軟らかいチューブに局所麻酔のゼリーを塗って鼻腔内に挿入、留置して行います。喉の麻酔が不要ですので、検査中の送気(胃を膨らませて観察しやすくするために空気を注入すること)で腹部膨満感があまり強くない場合には、検査直後より日常生活に復帰でき、食事もすぐに摂ることができます。

循環動態の変化の軽減!

 口からの内視鏡検査と比較して、血圧や脈拍といった循環動態指標の変化が少ないとする報告があります。

森 昭裕(一宮西病院消化器内科)ら、日本消化器内視鏡学会誌 Vol.50 No.12(2008)- 3089頁
同一細径内視鏡を用いた上部消化管内視鏡検査における経鼻的挿入法と経口的挿入法の比較
―前向きランダム化比較試験による循環動態変化の評価―

夕方の検査!

 他院と大きく異なる当クリニックの特徴が、15時半以降の夕方に検査をすることです。朝食(キノコ、海草等の消化されにくい食品は控えてください)は8時頃までに摂って頂き、それ以降は水分のみ(少なくとも400mL以上)の摂取となります。このスケジュールで通常は15時頃には胃内は空になっていることが報告されています。いわゆる「会社帰りの検査」も可能です。

土岐 真朗(杏林大学第3内科)ら、日本消化器内視鏡学会誌 Vol.52 No.1(2010)-21頁
午後施行する上部消化管内視鏡検査の可能性

経鼻内視鏡が実施できない場合や合併症は?

 検査中や検査後に稀に鼻の痛みや鼻出血がみられることがあります。鼻の穴の中(鼻腔)が狭くなっている患者さん(外傷などや生まれつきの鼻中隔変形、腫瘍・アレルギー性鼻炎などによる著しい鼻腔狭窄など)や大量の鼻出血を来しやすい患者さんには内視鏡を挿入することが困難な場合があります。
 また、鼻腔内で内視鏡による送気・吸引(陽圧で空気を送ったり、分泌物を陰圧で吸引すること)により耳の中の圧が変化して、耳がポーンとしたり、非常に稀ですが、めまいやふらつきを引き起こすことがありますが、通常大事に至ることはありません。

LinkIcon鼻から入れる内視鏡検査

 「胃炎」の診断で、ピロリ菌の存在診断、治療が保険診療の対象となりました!

 かつては、
①内視鏡または消化管バリウム造影検査において胃または十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者さん
②胃MALTリンパ腫の患者さん
③特発性血小板減少性紫斑病の患者さん
④早期胃癌に対する内視鏡的治療後の患者さん
に対してのみ、保険診療でピロリ菌の診断・治療が可能でした。


平成25年2月21日より、内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされた患者さんにも保険診療の対象が拡大されました。
ピロリ菌の駆除により、潰瘍の再発率が激減(左上図)する他、最近では胃癌は過去にピロリ菌に感染していた、あるいは現在感染している患者さんのみに発生(上図)し、ピロリ菌の駆除で早期胃癌治療後の新たな胃癌の発生は約1/3になる(左下図)といわれ、「ピロリ菌が見つかったら積極的に除菌すべき!」と考えられています。
 ピロリ菌に感染しているか否かの診断には、内視鏡検査時に胃の組織を採取して行い、すぐに結果の出る①「迅速ウレアーゼ試験」と、すぐに結果は出ませんが、内視鏡検査を必要としない、採血による②「血中ピロリ菌IgG抗体」測定、朝空腹時に呼気を集めて行う③「尿素呼気試験」、便検体で実施する④「便中ピロリ菌抗原」測定が用いられます。
 除菌治療によりピロリ菌が消えたか否かの診断は、偽陰性を避けるため治療終了後8週間以上経てから、上記検査③、④で行います。除菌治療後6ヶ月以上経過していれば上記検査②での判定も可能です。
 除菌成功と判定されても、100人中数人は再陽性化することが報告されていますので、年1回の内視鏡検査の際に除菌状態が維持されているか血中IgG抗体等を再検査することもあります。
 強力な胃酸分泌(ピロリ菌のウレアーゼ活性も抑制)抑制作用を持つ、プロトンポンプ阻害薬(タケプロンパリエットネキシウムオメプラールタケキャブなど)を服用中の患者さんでは、診断あるいは除菌判定のための上記検査①③実施時に薬の休薬あるいは変更をお願いする場合があります。